【今月のコンセプト】

まずは、JUDAS PRIESTとオジー・オズボーンによる「War Pigs」だ。オジーとBLACK SABBATHのフェアウェル・ライヴ『Back to the Beginning』の開催日に、JUDAS PRIESTはドイツのハノファーのスタジアムでSOCRPIONSの60周年記念コンサートに参加していた。オジーへの深いリスペクトを込めて彼らは「War Pigs」のカヴァーをレコーディングして、『Back to the Beginning』直前に公開した。しかし、オジーは一大イヴェントの数週間後に亡くなってしまう。シャロン・オズボーンからの提案を受けて、オジーのヴォーカルを加えた「War Pigs」を制作して発表した。この友情物語はこれからも長く語り継がれていくだろう。一方、SCORPIONSも記念公演を収録したライヴ・アルバム『Coming Home Live:蠍団の帰還～カミング ホーム ライヴ』を発表する。先行トラックの「Wind Of Change」は、東西ドイツ再統一の記念日である10月3日に公開されている。1988年に西側のバンドとして初のソ連公演を成功させたSCORPIONSにも、語るにふさわしい数多くのエピソードが存在している。他にも、DREAM THEATERやDEF LEPPARDのライヴ作品が登場し、あのRUSHが女性ドラマーを迎えて約10年振りにツアーに出るニュースが飛び込んでくるなど、2025年のロック・シーンは最後まで目が離せない。

【今月の1枚】

DREAM THEATER『キャランティエム～ライヴ・イン・パリ』

バンドの知恵袋と言われたマイク・ポートノイ＜ds＞が約13年振りに復帰。40周年ツアーを遂行した。ロンドンのO2アリーナを皮切りに、歴史を凝縮させたベスト選曲で観客を唸らせた。ヘヴィ・メタルとプログレッシヴ・ロックを融合させた独自のスタイルを構築した彼らは、シーンの新たな地平の開拓者となった。高度で、複雑なテクニックを駆使するだけではなく、エモーショナルな一大叙事詩を楽曲に映し出すなど、聴き手の感情を揺さぶってきた。パリのアディダス・アリーナで行われたライヴを収録した3枚組のこのアルバムは、ジェイムズ・ラブリエ＜vo＞の伸びのある感情豊かな表現力を主軸にして、自由奔放にテクニックをコントロールするジョン・ペトルーシ＜g＞と、復帰したマイクの骨太なドラムスが、ライヴの随所に巨大なエネルギーを作り出している。傑作『Images and Words』(の各曲から、一大コンセプト・アルバムである『Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory』の楽曲へと流れていくオープニングの楽曲が、この夜の豪華な体験を予言している。2026年2月に日本公演が決定している。

文／伊藤政則

来日公演情報
AN EVENING WITH DREAM THEATER 40TH ANNIVERSARY TOUR 2026
2026年2月25日（水）　東京　日本武道館
2026年2月28日（土）　愛知　アイプラザ豊橋
2026年3月2日（月）　大阪　フェスティバルホール
2026年3月3日（火）　岡山　岡山芸術創造劇場 ハレノワ大劇場
来日公演サイト：https://www.creativeman.co.jp/artist/2026/02dreamtheater/

毎日　0:00～　2時間番組

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